前回は、日本経済団体連合会の調査で、「LGBTに関して、企業による取り組みは必要だと思うか?」という問いに対して、90%以上の企業が「LGBTへの取り組みの必要性を認識していると言う回答があり、LGBTへの関心度の高さがうかがえる」というお話をしましたが、日本の企業では、まだまだ理解や支援が進んでいるとは言えず、さまざまな問題や課題を抱えています。
人々は、現在の社会の仕組みを当たり前と思って生活していますが、「職場」、「社会生活」、「就職活動」などで、LGBTの人たちは、さまざまな困りごとに直面しています。
1.職場での困りごと
■同性パートナーとの「同性婚」が認められていない。
■「家族手当」や「慶弔休暇」などの社内制度が適用されない。
■相談窓口の人事・労務・健保・労組などにLGBTの知識があるのかわからない。
■職場でのいじめ・昇進差別・解雇などの対象になりやすい。
■プライベートな話題を避けるため、社員とのコミュニケーションを避けてしまう。
2.社会生活での困りごと
■同性パートナーを「保険の受取人」や「相続人」に指定できない。
■病院で「治療の同意」や「看護・面会」ができない場合がある。
また、トランスジェンダーの人たちも、職場や社会生活でさまざまな困難に直面しています。
■「更衣室」や「お手洗い」などの設備環境が整っていない。
■服装・化粧を自認の性別に合わせることができない。
■クレジットカードの作成時や利用時の本人確認でトラブルになる。
■「家族割」や「性別限定のサービス」を受けられない。
さらに、就職活動での困りごとも・・
■履歴書の「男・女」のどちらに丸をつけるべきか悩む。
■「男・女」どちらのスーツを着て行くのか悩む。
■面接時にカミングアウトしたら不採用になるのではと心配になる。
■隠し通すことに強いストレスを感じる。
■「LGBTフレンドリー」「多様性を尊重する」という価値観のある企業かわからない。
■結婚を強要する風潮やハラスメントが無いかなど、働き続けられる社風か心配。
内定後にカミングアウトしたLGBTの学生が、会社から内定を辞退するよう迫られたという事例もあり、LGBTの学生の就職活動にはまだまだ厳しい現実があるようです。
皆さんは、LGBTの離職率はどのくらいだと思いますか?
答は
LGBTであることと、職業上の能力は関係ありません。
仮にその人が、企業が求める優秀でグローバルな人材であったとするならば、企業にとって大きな損失ということになります。
裏を返せば、LGBTの社員がカミングアウトしてイキイキと働ける環境を整えていれば、企業にとって有益な結果につながったのかも知れません。
企業はLGBTであるか否かに関わらず、いい人材を従業員に採用したい。
当事者が鬱(うつ)などで休んでしまうより、いきいきと働けたほうがいい。
居心地が悪くなって退職してしまうより、長く働いてもらったほうがいい。
そのために何ができるのか。何をすべきなのか。
多様性を持った人材が働きやすい企業は素敵です。
LGBTの人たちがさまざまな要因で、ストレスを抱えながら日々の生活を送っているという現状を理解する必要があります。
皆さんの企業もLGBTの取り組みを、まず一歩目からスタートしてみてはいかがでしょうか。
LGBTサポート担当 武藤
お問い合わせは:http://www.denko-ag.co.jp/original#contact
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