猿投山麓の静かな風土に育まれて奈良時代より一千年を超える赤津焼は、日本六古窯の一つに数えられます。
伝統的工芸品に指定された七色の釉薬(ゆうやく)は、平安時代の灰釉(はいゆう)に始まります。へら彫り、印花(いんか)による華やかな文様によって花開き、鎌倉期の鉄釉(てつゆう)、古瀬戸釉(こぜとゆう)の出現により、貼付け、浮彫り等の装飾技法に一段とみがきがかかり、古瀬戸黄金時代となりました。
桃山期の茶華道の発達に伴い、黄瀬戸(きぜと)、志野(しの)、織部(おりべ)の各釉が出現し、その優雅な美しさは、茶陶を中心として各焼物に及び、今日も変らず赤津焼の代表的なうわぐすりとして多く用いられています。
江戸時代の初期、尾張徳川家による尾州御庭焼によって御深井(おふけ)釉が用いられ、玄人好みのうわぐすりが一段と冴え、見事なろくろ技術や、たたら技術によって他に類をみない多彩さを誇ります。
今日も尚、十二種もの装飾を駆使して、赤津焼に生かされ、その伝統を守り制作されています。
釉薬(ゆうやく)の材料
(花崗岩と土灰(土灰))
この二つをベースに銅や鉄などの金属を加えて色を出します。今でも人気の高い織部の緑色は銅によるものです。調合する量によって、さまざまな色合いを作りだすことができ、色の種類は無限に広がります。こういった材料を含め、8~9割が天然ものの素材を使っているとのこと。
形について
(石膏の型)
焼き物というと、ろくろを使うイメージあります。丸以外の形を作れないと思われがちですが、石膏でオリジナルの型を作り、丸以外の形も作ることができます。
どんぐりが欠かせません。
(焼窯から出した後の焼き物)
釉薬で模様を付けた焼き物は窯から出してすぐにどんぐりのカサを水に浸して作られた茶色の水に浸すと模様の部分の織部の膜がとれ、光沢が出ます。どんぐりは秋にご自分で拾ってくるそう!
どんぐりのかさからでた
「しぶ」の水溶液
どんぐりのかさ
どんぐりエキスに浸した後は、
きれいに水洗いして
天日干しします。
代々受け継がれる図案は
自然のものが描かれている
こんな透かし柄の作品も。
つくるのが難しいそう。
織部の色合いがとても素敵です。
赤津焼は完成まで30~40日かかります。土をつくり、釉薬をつくり、成形し、焼き、仕上げます。
土の塊が人の手ひとつで、お皿や湯飲みに形を変え、自然のものが反応しあって織りなす色合いは何とも言えない味わいがあります。
■ご協力
晴峰窯
〒489-0022
愛知県瀬戸市赤津町43
TEL:0561-82-0149
赤津焼会館
高台に建てられた赤津焼会館は、円筒状の建物の周りを七釉のひとつである織部釉の陶板で装飾されています。
深い緑色が美しい印象的な建物です。館内には、たくさんの伝統工芸品・赤津焼が展示されています。
〒489-0022
愛知県瀬戸市赤津町94-4
TEL&FAX : 0561-21-6508
開館時間 10:30~15:30
休館日 月曜日・火曜日・水曜日
入場料 無料
メール info@akazuyaki.jp
URL http://www.akazuyaki.jp/