豊橋筆は、文化元年(1804年)、三河吉田藩(豊橋)学問所に京都の鈴木甚左衛門が御用筆匠として迎えられ毛筆を作ったことが始まりといわれています。
筆作りは吉田藩藩士たちの間で内職として広がり、産地として発展していきます。
明治に入り、芳賀次郎吉が当時の巻芯筆から水筆(現在の毛筆)の製法を広め、その弟子の佐野重作が改良を進め、書道家向けの高級筆として生産、東京へと販路を広げ、今では全国で高級筆の7割のシェアを占めるまでになりました。
墨になじみやすく、すべるような書き味は多くの書道家の間で定評となっています。
芯毛を処理する際、水を用いて練り混ぜる生産工程がこの書き味を生み出しており、この工程が最大の特徴となります。
選別→毛抜き→毛もみ→櫛上げ→寸切り→型造り→練り混ぜ→さらい→芯立て→上毛がけ→尾締め→繰り込み→接着→仕上げ→鞘付け→刻銘
原毛の選別から始まり、筆先の芯毛を整えるのに水を含ませ、櫛でとかしつけながら細かい毛や余分な毛を取り除き、芯を作り、その周りに上毛(化粧毛)を巻き付けた筆先に軸を取り付け、筆の軸に刻銘するまで約36工程を経て完成します。
練り混ぜ前の筆先
縦一列で半紙用太筆約6本分の芯毛になります。(川合毛筆さん)
芯立て(川合毛筆さん)
一つの筆先はいくつかの種類の毛と異なる長さを混ぜて作られています。(川合毛筆さん)
孔雀や馬など動物の毛で作られた筆(川合毛筆さん)
原材料となる原毛
70%が中国からの輸入でまかなわれています。(杉浦製筆所さん)
最終の仕上げ
穂全体に糊をたっぷりと含ませた後、糸を巻き付けて回しながら余分な糊を取り除き形を整えます。(杉浦製筆所さん)
仕上げた筆を乾燥させます。
このあと穂先にカバーを付けて出荷されます。(杉浦製筆所さん)
川合毛筆
伝統工芸士 川合福男さん/ 筆職人 中西由季さん
〒440-0016
愛知県豊橋市牛川町字中郷70-4
TEL:0532-54-3867
豊橋市役所とのプロジェクトで子ども用洗顔ブラシ<福筆>を開発するなど、豊橋筆の新しい可能性を広げている。お弟子さんの中西さんは東海若手女性職人グループ「凛九」http://link-kougei.com/の一人。
株式会社杉浦製筆所
伝統工芸士 杉浦美充さん
〒440-0838
愛知県豊橋市三ノ輪町5-13
TEL:0532-61-8155
面相筆専門の職人さんを含め6名の職人さんが在席される豊橋筆の問屋さん。「社内の職人達は、様々な筆の注文にお答えできるよう日々研究しています。」